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構造計算書偽造事件について [なにげなく・さりげなく いきたいネ!]

11月18日に発覚した姉歯建築設計事務所の構造計算書偽造事件につきましては実に情けないことと同業の立場から批判申し上げたいと思います。とくに、全国的に耐震や構造補強に対する関心が高まっている中でこうした不正事実が明るみに出たことはまことに遺憾であります。構造設計者本人のモラルの問題とはいえ、建築物としてお引渡しをした先にはお客様の生活があることは誰にでもわかることであり、これが無視された現状とここにチェック機能が何一つとして働かなかったことに問題があると判断します。
この問題はこの建築体制(不動産開発→建築計画→建物完成→メンテナンスまで)のどこにおいてもお客様への思いが必要であるにもかかわらず、すべてのプロセスにおいてこの思いが欠落していたことに起因します。なぜなら、ハウスメーカーや工務店、建設会社などの施工会社の金銭的従属関係にある全国のほとんどの設計事務所はどのような立場を取ろうとも協力を余儀なくされ、施工サイドの経営解決や工事解決を超えられません。つまり、いくらその設計事務所が正義を通そうとしても、施工サイドの圧力には屈せざるを得ない運命にあるからです(その設計事務所の設計費用は施工者が握っているからです)。しかしながら、お客様と直接契約(設計監理委託業務契約)した建築設計事務所は違います。この契約はお客様に正義を約するものです。お客様との正義はこれによってしか実現できません。今回のようなマンション建設については公正な建築士がお客様のために各種第三者チェックをすることが今後必須となります。(NPOにこだわるものではありません。)

 先のお客様への思いの欠落はこの事件の建築体制にとどまるものではなく、日本の建築業界・土木業界の風潮に中に根ざします。ですからこの事件は業界全体として受け止めるべきものであり、そこに介在する消費者である市民であるあなたもこうしたこれまでの建築体制へ毅然とした立場(設計者との直接契約)を表明しなければなりません。

 この事件は氷山の一角であり立ち向かうべき氷山はとてつもなく大きなものであります。この氷山は業界の金銭的裏金工作を含みながら政治的悪癖も関わってヘドロ状態へと腐敗を進めています。ある意味、今回の事件は内部告発でもあり、国交省をはじめとする行政やその温床を広げた建設会社そのものにも責任は当然あると判断します。中でも現場サイドの経営利益(工事総額の30%以上)を追求しなければならない営業部隊ならびに工事部長や工事主任、さらには現場監督や工事を実践する下請け職人(下請け設計者含む)などの一連のメンバーはその主従関係によって元請や上司の言いなりにならざるを得ない実態を浮き彫りにしながら、彼ら全員がこの事件に加担していると思われます。ここに悪癖を許す根源があります。

 今、巷に蔓延する無料で診断などできるはずのない無料耐震診断→偽装改修工事に関連する振り込め詐欺事件や工事費UPトラブル、はたまた設計ミスなのか施工ミスなのかの責任者不在の地震時での天井落下事故、突然の床落下事故など公共建物の建築事故、さらには枚挙に暇がないほどの入札価格のダンピング問題、建築工事や土木工事の談合という指名参加業者への安定経営を保護するための公共工事など、これらこそが業界の悪しき実態です。つまり、こうした公共工事すらおかしなことになっていることに市民(あなた)はいち早く気付かねばなりません。ですから、あなたは安穏としていてはいけないのです。

 では、あなたは何をすべきでしょうか?・・・それは・・・「厳正(適正)」となすべき分別を知って(学習して)いただくことと、その厳正(適正)なるものの「公開とその効果」を友人に伝えていただくことです。これを知らない人が世の中に多すぎるので厳正(適正)なるもの(人)が市民に伝わらずに、一向に世の中は良くならないと考えます。ですから、できるだけ多くの人々に正しいことを伝えることが今最も大切なこととではないか思います。

 今回の重大な事件を契機として、私たちは設計者としてのモラルつまりお客様を守るための正義を貫くことをお客様とともに考えていきたく思います。

 なお、当社は厳正(適正)な判断と公正を証するために現場を公開しています。これはお客様との信頼関係を意味します。またこれらとは別に、設計図書の適正化判断や現地での設計図面照合や工事指導なども随時受け付けております。どうぞご利用ください。

cosugi : 2005年11月25日 20:59

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