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住宅版エコポイントという短絡的国家施策を突く [興味津々・好奇心]

昨日、住宅版エコポイントに関するセミナーがビューローベリタスジャパン・新宿事務所であり参加した。

参加者数は少数でおおむね12名程度だった。

まだ、国交省からの詳細がなかなか掴めていないようで説明も概略的なものであった。

来週から再来週くらいには国交省から更なる追加説明があるそうだ。

基本的には現状の景気浮揚策の一環としてのもので、通常国会で年度予算が成立しなければ先に進まない話であり、決まったとしても2010年12月末日を持って一旦は締め切られるらしい。

ただし、共同住宅については工事期間が戸建住宅に比べて長いので、年内締め切りでは対応が難しいものがあり、受付はするものの現在詳細について検討中とか。

具体的には「もう少しお待ちください」というのが本音というところ。

住宅版エコポイントで最高額は30万円程度のポイント還元はあるようだが、評価機関に申請するに当たり3万円から4万円程度の申請手数料が必要ということや、設計事務所が断熱気密系やサッシ関係のエコ基準達成に要する設計ならびに監理を行う業務報酬を10万円から15万円、それぞれの断熱資材やサッシ類の増額要素、工事費の増額要素が50万円とすれば、おおむね60万円から70万円程度の施主負担に対して30万円のポイント減額効果というところ。

40万円程度は実質的な持ち出しになる計算。

やはり、経済的な浮揚、追加景気浮揚策が主眼であることは明白で、その負担を建主に負担させていくことに他ならない。

これだけ余分に工事費が掛けられるのならば、私なら日本の気候風土に根ざしたエコ断熱材としての「土壁」を推奨するが、「土壁」ではエコポイントは当然もらえない・・・。

そもそも「省エネ等級4」というような高度な基準を全国一律に扱うことは果たして効果的と見るべきか?根本的に無理があるのではないかと疑問を抱く。

東京地区で「省エネ等級4」レベルの断熱材充填による木造住宅への内部結露による腐食などの弊害については実績・経験や結論もない中、これを経済対策に乗せて国交省が推奨するような今回の事態はいかがなものかと思うのだ。

本来的に、日本の木造家屋は温暖かつ湿潤な気候の中では「内部結露」してしまって耐久性を損なうことは誰しもが理解している。

過去にも「断熱気密性を高めろ」と盛んに気密住宅を推奨した結果が「24時間換気の義務化」であったが、今回もこれの二の舞かと危惧する。

CO2を25%削減しようとする目標に向かうことは必要だが、日本の気候風土を無視して「省エネ」を声高に連呼することは避けたいところであり、見識の高い建築家や設計者はこのあたりについて、国交省など国の短絡的な施策をもう少し冷静に判断すべきである。

cosugi : 2010年01月15日 04:32


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